20日午後2時すぎ、福井県永平寺町松岡石舟の繊維メーカー「豊島繊維」の近くにいた警察官から「工場から煙と炎が出ている」と110番通報があった。福井署や消防によると、火は約7時間後に消し止められ、敷地内で4人の遺体が見つかった。福井署は連絡が取れていない20~50代の従業員の男女4人の可能性があるとみて身元確認を進めている。
このほか20~50代の男女4人が病院に搬送され、やけどなどの軽傷。工場など計4棟が全焼した。
出火当時、工場にいた60代の男性従業員によると、火は工場内の「第1工場」付近から上がり、黒煙と火の粉が流れてきたという。男性は「モーターの燃えるような強烈なにおいがして、(火が広がるのが)あっという間だった。製造作業で燃やす物は使っておらず、なぜ火災が起きたのかわからない」と話した。
永平寺町は火災発生後、防災無線や町のフェイスブックで有害ガスが出る恐れがあるとして、避難したり外出を控えたりするよう呼びかけた。町によると、工場に隣接する町立松岡中学では火災発生直後に停電が発生。授業を中断して体育館に生徒を避難させた後、町のバスで自宅周辺まで送るなどして全生徒を帰宅させたという。地元で民生委員を務める近くの男性(72)は「ボンボンと何かがはじけるような音が聞こえた」、近くの主婦(75)は「窓も開けていないのに煙が入ってきた。バーンとガラスが割れる音が聞こえた。家の中はにおいがひどい」と話した。
豊島繊維のホームページによると、同社は1963年に設立され、従業員はグループ合計で95人。アウトドア衣料メーカーなど多くのアパレルメーカーに生地を供給しているという。
現場は北陸自動車道の福井北ICから東へ約1・5キロの場所。周辺は農地と住宅が混在している。(木佐貫将司、平野尚紀)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル